いざ手術
手術当日。
その後も食事がほとんど食べられずやつれた表情のカンナ。
手術を前にいろんな思いが込み上げる。
なんで末っ子のカンナがリンパ腫になったんだろう。
つい3ヶ月前には病院で輸血猫として活躍するほど元気だったのに。
今までたくさん辛いことに耐えてきたのに、なんでまたカンナなの。
考えてもしかたないけれど、やっぱりなぜ?って考える。
そうこうしているうちに、手術の時間を迎えた。
あれからもほとんど食べられず、鼻から入れたカテーテルで栄養剤をチビチビ入れてはいたものの、4キロあった体重はすでに3.3キロまで落ちていた。
私も助手として手術に参加し、カンナの一部始終を見届けた。
お腹を開けると腸に大きな塊がある。
予想外に、腸以外の大網と呼ばれる腹腔内の膜にはたくさんの小さな腫瘤が無数にあった。
腸にある大きな塊と、取り切れるだけの大網の小さな腫瘤を取り除き無事に手術を終えた。
あとは抗ガン剤に期待しよう。
そう先生から言われた。
手術後、
麻酔から覚めかけのカンナは訳がわからず不安そうにあたりをキョロキョロしている。
私は傍でカンナに声をかけた。
眼の見えないカンナは私の声がわかったのか、少し落ち着いたように見えた。
不安にならないように、入院ケージにはお気に入りのクッションを入れた。
ちょっと不満そうだが、少し経つと落ち着いてクッションで眠ってくれた。
午後の仕事が終わり、カンナに「また明日来るからね!」と言って帰宅した。
翌日
ちょうど休診日だったため、母と二人でカンナに会いに行った。
昨日よりも落ち着いている。
前足の点滴に気づいたらしく、しきりに手を振り払おうとするのでカラーをつけられた。
夜は一人で不安だったのか、私の腕を独り占めして横になった。
先生から食事の許可が出たので与えてみる。
栄養剤を薄めてスプーンで口元に持っていくと、怪訝そうな顔をしていたが自分でなめた!
何日ぶりに自力で食べただろうか…
食事を食べる姿をみて少しホッとした。
3時間おきに大さじ1杯ずつのご飯を嫌がりながらも食べてくれた。
夜になり、「また明日ね」と言って病院をあとにした。
ご飯を食べる姿をみて、手術して良かったと思えた。
まだまだ治療はこれからだけど、カンナは頑張って生きようとしている。
それだけで嬉しい。